薪ストーブは冷却装置なのかも

調査依頼の仕事の後、美味しそうな洋食屋さんがあったのでランチに入りました。

まだ栃木県もまん延防止等措置(所謂、マンボウ)期間という事もあり、テイクアウト中心!と書いてあったので入れるかな?と聞いてみたら快く入店させてくれました。

少し早めで空いてたのもあるのかな?

ちょっとお洒落な内装の客席で、中央に置かれた漆黒のカッコいい薪ストーブがパチパチ燃えている。案内された席は直線距離で約2m。薪ストーブとテーブルの間は通路があるだけで遮るものはありません。勢いよく燃える薪の炎。けれど、

全然暖かさが伝わって来ない。

むしろ燃焼されて排気が急上昇する事による自然給気=隙間風が起こっていて寒い。

屋外側壁から漏れ出てくる冷気で足元がスースーして本当に寒い。

それをお店側は解っていらっしゃるのでしょう、ブランケットがカゴに準備され足元には電気ストーブが点いてオレンジ色に発光している。薪ストーブよりも電気ストーブから来る放射熱の方を感じる状態。

でも足元から来る隙間風の方が勝ってしまうので暖かくはありません。

薪+電気というそれなりの燃料を使っているのに。それはさておき

料理は本当に美味しかったです。

お店が特定されてしまうのもマズいので場所や写真は伏せますが、美味しいのに寒いというだけでまた行こうという気にはなりません。近くのカフェでも同じようなお店があります。

ランチセットに付いてきた美味しいスープも直ぐ冷めてしまいそうで、急いで飲みました。

建物は木造に左官下地を張って、レンガと左官で仕上げてある。決して古い建物ではありません。

客席は土間床で、天井は6m程度の勾配天井吹抜けです。僕はこう思った。

薪ストーブはやっぱり寒い。

燃焼された空気(CO2)は高温となり上昇気流となって煙突から外に出ていく。部屋の中央に置かれた薪ストーブには専用の外気導入ダクトは繋がっていないので、部屋の空気を燃やして燃焼を続ける。ずっと燃え続けられるのは、隙間から風が入り込み酸素(O2)を供給しているからです。

暖かい風は上に。燃焼用空気は低い場所=床付近の隙間、サッシの隙間から優先順に流入する。

だから壁際に座ると足元がとても寒い。ある意味、気密性能がそんなに良くないから隙間による自然給気が起こっていて、薪ストーブ専用給気ダクトがなくても燃え続ける事ができる。

 

じゃあ薪ストーブの火を消してしまって他の暖房機、ファンヒーターや電気ストーブにすれば暖かくなるでしょうか?

いいえ、なりません。もっと寒いです。

何故なら薪ストーブの部材、屋根や壁の外に出ている煙突はほぼ鉄製かステンレス製です。鉄やステンレスは熱伝導が優れている。という事は外の冷たさ瞬時に伝えてしまう。屋外に突き出た煙突は、燃えてない時寒い外の空気によっってキンキンに冷えており、室内中央に置かれた薪ストーブ本体と繋がっている。熱伝導により燃えてない鉄製の薪ストーブも冷たくなる。部屋の中央に冷却装置の誕生です。

洋画に出てくる薪ストーブや暖炉があるシーンでは必ずと言っていい程、毛布がセットで映っています。燃やせば足元が寒いという事が分かって使う暖房設備。

人が心地良いと感じる暖房は頭寒足熱とまでは言いませんが、頭よりも足元が暖かい事。薪ストーブや暖炉はむしろ逆になり、顔がほてって足元冷え冷え。不快な暖房なのです。

熱エネルギーの伝わり方、物理の大原則。

伝導と対流と放射。

例えばこんな状況だとしたら?

空気的に遮断された部屋が2つあって、一方で薪ストーブや暖炉が燃えた部屋がありもう一方の部屋とはガラスで間仕切りされていたとする。この場合は炎の放射エネルギーだけを受け取る事ができるのでメチャメチャ暖かい。

雰囲気も良いし、キッチンコンロを兼ねた薪ストーブとか男のロマンだったりします。

「週末は薪割りして冬に備える俺、イケてるよな」アウドドア雑誌の表紙のようだ。

でも物理は嘘をつかない。薪ストーブは置いてあるだけで寒いです。

僕なら薪ストーブを冬キャンプで使います。閉ざされた空間でない環境で使う薪ストーブは至福の時間でしょう。

高性能住宅(測定値へリンク)の暖房器具ならエアコン以外にないと思ってます。空気を汚さず、安心して点けっぱなしができるから。

(写真とお店は関係ありません、イメージです。)

 

有限会社ラウレアホーム

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