防腐・防蟻剤を使わない家造り1

家建てtuber(youtube動画)で防腐・防蟻剤を使わない家造りについて投稿をスタートしました。
薬剤を塗らず、建築基準法で言う木材劣化防止の手法という事で(防腐・防蟻の防腐の方から先に解説してます)
木材は腐朽菌が木を腐らせるので、含水率を上げなければ木は腐らない=

防腐剤を塗らなくていい

事になります。防腐剤を使わない手法のルールとして他に外壁通気工法とするとかコンクリートの土間厚、
軸組材に使う木材の材種等他にもあるのですが、今回はこの
防湿フィルムを貼る事によって腐れから木材を守り、安全に家を作る話をしたいと思います。
もう10年以上前の話です。既にラウレアホーム(旧岡野住宅)は防腐剤を塗布する家を作っていませんでした。
そんな時、こんな事件が起こります。
当時お付き合いしていや建材商社の営業の方と、某発泡系断熱材メーカーの方が僕の会社その断熱材のPRに来まして。
壁に防湿フィルムを貼るか貼らないかの話になって、ちょっと熱い会話になっちゃったんですけど
その営業の方が言うには「石膏ボードとビニルクロスを貼った壁であれば」

面倒な防湿フィルム貼らなくて大丈夫ですよ

「そこに弊社の断熱材を使っていただければとても断熱性の高い家になります」←結局こちらも違うのですが・・・
と断言するんですね。その時、その言葉に納得いかなかった僕は壁が水蒸気を通り抜けるので貼らなきゃいけない、と主張するのですが
言い方悪いですがやっつけられませんでした。
お互い、学んだ場所が違っていてそれぞれ譲れない部分があったのでしょう。じゃあこれを確固たるものにするにはどうしたら良いか?
これしかありません。人が言った事、ネットの情報ではない。

自分で実験すれば良い

思っているのと違う結果が出ればそれは認めなきゃいけない。その通りになれば確信に変わり最強の説得力になる。
ネットに出てる情報はとりあえず捨て、自分も一度フラットな目線になる事。
石膏ボードにビニルクロスを貼ったもの。よくある家の外壁側、断熱ラインの室内側の壁下地、壁仕上げと同じものを用意します。

これは簡単。石膏ボードに一般的なビニルクロス壁紙(新品)を糊付けして貼ればOK
大きめの蓋付きプラスチックタッパーを2つ用意、これは水蒸気量の違う部屋を擬似的に作り出す為の物。プラ箱の蓋は使いません。
一体形成されていますので、勿論水漏れはなく気密性が保てればプラスチックを水蒸気が透過していく事もないでしょう。
材料はこれらの他、気密性を保つための粘着テープとシール材、コーキングです。
実験の方法は、同じ気温(温度)の状態で絶対湿度(湿度量)の違う箱を2つ作り、
そこを建物断熱ラインの内側の壁を想定した材料で挟み、それぞれの箱の湿度量がどれだけ変化するのか、を調べる訳です。
先ずは片方のタッパは水蒸気をできるだけ抜いて乾燥状態の部屋1を作ります。
箱とクロス壁材の間から水蒸気が漏れたら意味がないので隙間をコーキングして気密粘着テープで固定し密着させます。箱の中には温湿度計をセットしておき目視できるように。

↑↑できました↑↑
今度は「部屋1」をビニル袋に入れ、その袋の中に乾燥剤(湿気取り)を入れ
ビニル袋の口を気密テープでぐるぐる巻にして、しばらく放置。箱の中の湿気をできるだけ抜きます。

この時点で、クロスと石膏ボードは水蒸気が透過していると分かるのですが実験にならないので次。
湿度(水蒸気)が多い「部屋2」を同じ方法で作ります。
違うのは、箱の中に入れた温湿度計の下を水で満たしてあるという事、温湿度計が水で壊れてしまわないようにウレタン材で嵩上げして設置します。
同じ温度で水蒸気量(絶対湿度)が違う部屋が2つできました。
先程作成した「乾燥した部屋1」はビニル袋から取り出したら直ぐに部屋2の上に乗せて、透湿抵抗の高いアルミテープで双方の箱を密着させます。
写真見ていただくと解りますように部屋2には水が入っています。

これは、水蒸気圧差の違う部屋の壁ができた状態。例えば冬に、窓が全部閉まっていて
室内は暖房され、加湿器が使われ洗濯物の室内干し、またお風呂に入ったりと家の中の水蒸気量が外部に比べ多い状態。
暖房された熱は断熱ラインの壁に到達し蓄熱している状態、
サンドイッチされた実験用壁材は断熱材室内側表面のクロス仕上げの壁と同じという事になります。
2010年3月26日。気温11.0℃(事務所暖房スタート時なので寒いです)
箱の温度はどちらも一緒なので、違うのは水蒸気量。
下の水を入れた部屋2の相対湿度70.2%。乾燥させた部屋1の相対湿度26.0%
このまま1日放置しました。
その結果がこちら、翌日3月27日 室温14℃(前日と同じ時間、暖房スタート時)

下の水を入れた部屋2の相対湿度70%
乾燥させた部屋1の相対湿度67%

たった1日でほぼ同じ湿度に!

どうでしょう?木造住宅に貼られた石膏ボードとビニルクロスで仕上げた壁は水(水蒸気)を通す、という事になりました。
これが間仕切り壁で露点温度にならなければ問題ありませんが、外壁側断熱ラインだった場合は防湿層がないと壁体内結露が起こるという事になります。
この時、断熱材の種類とか関係ないんですね。発泡系でもグラスウールでも石膏ボードの裏側に防湿層がないと、
木材が含水し20%を超えてしますと腐朽菌が発生してしまいます。結果、発泡系断熱材メーカーの営業さんが言った話は嘘という事になります。
ここは、人が書いたり話をした事をそのまま受け入れて信じ込むか

自分でやってみて確信になるか

の違いだと思います。ですので、木造住宅の断熱材が入る壁や天井、屋根の壁下地材裏側には必ず連続した防湿層=すなわち防湿フィルムが要るという事になります。
この、「連続した」というのがポイントで、グラスウールで防湿層でパックされた袋入の物では駄目になります。
柱は10センチ以上幅があります、そこに防湿層の耳という伸びた部分で被せられない幅ができてしまいますのでそこから水蒸気が壁内に侵入し、柱が含水していきます。
少し長くなりましたが、今回私がやった水蒸気透過実験の結果をご紹介させていただきました。
連続した防湿層のない家は腐朽菌が発生し家が腐って行くという事。
防腐剤を塗らない代わりに防湿フィルムを丁寧に施工し、水蒸気の壁体内侵入を止め含水率を上げない事で腐朽菌の発生を抑え劣化を防止する。
これが家守りと同時にその家に住む人とご家族の健康を守る事になるのです。
だからとても大事な住宅の水蒸気透過性能を調べる試験が気密測定。
測定する気密の「気」の意味はラウレアホームの場合「空気」ではありません。「水蒸気」です。
(宇都宮で新築・注文住宅ならラウレアホームへ)
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有限会社 ラウレアホーム
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